価値観とは使っている言葉の定義のこと
言葉は同じでもその意味するところは人によって違う。その違いが価値観の違いだ。
「あなたとは価値観が違う」というのは、言葉にこめている意味が違うってことだ。
だから同じ言語で会話していても意味が通じない。
さて、じぶんの価値観を細かく知ることは、じぶんを細かく知ることと同じだ。じぶんがどんな意味でその言葉を使っているのかよく観察するといい。そうすれば、じぶんが世界をどのように受け取っていて、どのような可能性を感じることができるのかが理解できる。
たとえば、お金。
お金は悪いもの、人間を惑わすものと思っている人は、お金について真剣に考えることを嫌う。逆に、お金は幸せの原泉だと思っている人は、お金について真剣に考えることが楽しくなる。
たとえば、社会。
社会は権力者による搾取の仕組み、個人で変えられないもの、悪意が隠れているもの、そういう意味やイメージを持っていると、社会に参加することが嫌になる。逆に、社会は人間同士がうまくやるために育ってきた仕組み、個人の意見が社会に影響を与えることもある、悪意もあるけど善意もある、そういう意味やイメージを持っていると、社会に参加することが苦ではなくなってくる。
たとえば、政治。
政治は諸悪の根源、腐った権力の構図、利権や汚職まみれ、コネがなきゃダメ、国を食い物にするもの、民衆を騙して操作する、理想的な政治家なんかいない、そういう意味やイメージを持っていると、政治に不信感と嫌悪感を持つ。逆に、政治は国の舵取りのこと、良くも悪くもできる実際的な力、理想と現実のギャップを埋める手腕、専門知識、外交内政には交渉力が必要、将来を構想できなきゃダメ、そういう意味やイメージを持っていると、政治に参加する意義を感じられ、より真剣に向き合おうと思える。
じぶんの持っている価値観(世界観)によって、考え方の方向や気分は大きく影響を受ける。それがまた言葉の意味を補完していく。
じぶんを変えるとは、じぶんの言葉を変えることだ。
じぶんを正すとは、じぶんの言葉を正すことだ。
じぶんの言葉を観察せず、変えも正しもしないなら、どんな決意をしようと何も変わらない。