正しい愛し方
言葉でどれほど愛していると言ってみたところで、愛し方が間違っていれば【愛せている状態】にはなりません。誰も幸せになりません。
では、正しい愛し方とはどういうものでしょうか。
それは観察することです。
もしも観察しないで...となると、これは非常に難しいでしょう。エスパーなら別でしょうが、人間には他人のことはもちろん、自分のことだってよくわかっていません。わかった気になるだけです。
愛ではないもの
愛することの前に、愛ではないものを説明しておきましょう。
『愛してる、愛してる、愛してる、私はこんなにたくさん愛してる!』
そういう言葉は愛ではないと思うのです。
私は理解しようとする態度、誠意が、愛することの根本だと思うのです。その具体的な方法が「観察すること」です。
「こちらから伝える」というのは、愛していることを伝えているようで、実は、愛して欲しい、私を見てということを伝えているのです。もしかしたら受け止めてもらえるかも知れませんが、普通は相手にされません。だって相手にメリットがないですから。誰もが自分を愛してくれる存在を求めていますから、愛して欲しいと訴えても、相手も同じように愛して欲しいと訴えてくるのが普通なのです。
もしも愛していると伝えているのに、「もっとちゃんと愛して欲しい」と言われるとしたら、そういうことです。
自分を愛する
さて、「観察すること」と書きましたが、実行するとなると初めは簡単ではないでしょう。たいていの人には、思い込みや憶測で人を見てしまう悪い癖があります。それを取り払って、できれば好意的に見る練習が必要です。
大切なことは、まず自分をよく理解することです。
「誰かに理解して欲しい」と思っている自分自身が、自分を理解することを疎かにしているっておかしいでしょう?
じぶんの良い点、悪い点、すべてをひっくるめて理解してあげましょう。認めてあげましょう。今は「今のあなた」でいて良いのです。「いついかなる時も理想的な人間」である必要はありません。あなたはあなたのままで、まずは良いのです。努力して向上しても、向上しなくてもいい。向上したければそこから向上すればいいのです。
あなたは、あなたです。別の誰かではない。
パンダが早く走れないからって誰も責めません。
良いも悪いもないのです。あなたはあなたでいればいい。
どっちにしろ、あなた以外にはなれないのです。
そうして自分を理解し認めることができたら、きっと気持ちが楽になります。「自分に落ち着いた状態」になります。一番の味方である自分が理解してくれたのですから、他人から理解を得られなくてもそれほど不安にならなくなります。
他者を愛する
「自分」に落ち着けると、自然に他人のことが理解できる余裕が生まれます。人間はそれほど大きく違わないので、自分のことが理解できれば他人のことも理解しやすいのです。それは自分のつらさや苦しみを感じるように、他人の苦しみが想像できるようになるということです。なぜなら、つらくて苦しい思いは誰しも感じていることだから。
よくよく観察してみれば、それぞれが、それぞれに、事情を抱えて生きているのです。
だけど自分に落ち着けていない人は、「私はつらい!私のつらさを認めて!誰よりも私が一番つらい!」という思いが強く出てしまいます。それは誰かにわかって欲しいから。本当は、あなたはつらいかも知れないけど、あなただけがつらいのではない。あなたが一番つらいのでもない。誰もが何かを抱えていて、他人を思いやる余裕もないのです。
しかし自分を理解すると、誰かにわかってもらわなくても落ち着いていられます。その状態になると、「ああ、あの人もつらいのだな」ということが自然に認められるようになります。
その時、あなたは「理解してくれる人」「愛をくれる人」になっています。
自分を理解しない人ばかりの世界では、誰も理解しようとしません。わかろうとしないから。
自分を理解する人ばかりの世界では、誰もが理解しようとします。わかるから。
聞いて確かめる
観察するだけではなく、本人に聞いて確かめることも大切です。
否定するために聞くのではなく、理解するために聞く。
理解しようとする態度は、相手にもそのように映るでしょう。
良き友人になる
私は「今すぐ」良き友人を作る方法を知りません。
ですが、自分が誰かの良き友人になる方法は知っています。
『自分を愛せない人が他人を愛せるわけがない』
小説やドラマで使い古されたセリフですが、突き詰めるとそういうことです。
人は自分を愛するのと同じ方法でしか他人を愛せません。
自分を愛する方法が正しければ、その方法で家族や友人や同僚と接するのです。
自分を愛する方法が間違っていたら、その間違った方法で家族や友人や同僚と接するのです。
自分を愛していない人と関わると、関わった全員が苦しくなります。
だからまず、自分を愛することが他者を愛する大前提になるのです。