「哲学の専門家」ではありません。
  天使のような純真さで疑問を投げかける犬畜生です。

君を愛してる。

どうして君は自分に魅力がないと思うのだろう?
おれからすれば、君はとても魅力的なのに。

たとえば、よく切れる刀があるとするよね?
それから、すっごくバランスの良いプロ用のハンマーがあるとするよね?

釘が打ちづらいからといって、刀に価値がないと思うかな。思わないよね。
切りにくいからといって、ハンマーに価値がないと思うかな。思わないよね。

モノにはモノの、人には人の、長所や使い所があるよ。短所にばっかり気を取られてたら、せっかくの長所を見失っちゃうよ。

誰かと比較して、一番じゃなかったら価値がないのかな?
君より美しく、頭がよく、できる人がいたら、君は価値がないのかな?

違うよ。
君には君の魅力がある。

君より美しい人がいる。だから?
君より聡明な人もいる。だから?
君より要領のいい人だっている。だから?

あっちの方がいい、いやこっちの方がもっといいって、あっちこっちに目移りしてたら本当の魅力なんかわからないよ。

若い方がいいだろうって?

過去の君と、今の君、比べたらどっちがいいと思うのかな。
若い頃の君はたしかに魅力的だ。でも、今だって魅力的だ。
年取ったら年取ったなりに、痩せたら痩せたなりに、太ったら太ったなりに、欠点なんか探せばいくらだって見つかるよ。でもそれが何なの?

若い頃の君より、今の方がずっとずっと、おれのことがわかってるだろ?
それは簡単には手に入らないものだよ。

君の笑顔だってそうだ。
出会った頃はその魅力にやられちゃったけど、今の方がその何倍も魅力的だよ。

それがどうして君にわからないんだろう。

達人ってね、道具を選ばないって言われるんだ。
そりゃあもちろん、いい道具の方が使いやすいさ。
でもね、達人はどんな道具でも使いこなしちゃうんだ。
なんでかわかるかな?
どう使えばその道具の良さを引き出せるか、それを見るからだよ。

弘法筆を選ばずっていうコトワザがあるじゃない?
きっと、いい筆ならいい筆なりに、ダメな筆ならダメな筆なりに、最大限にその良さを引き出すんだと思うよ。
そして、いい筆で書いたものも、悪い筆で書いたものも、その筆だけの味わいが出せるんじゃないのかな。

一面的な優劣で比べることもできるけど、それ自体の味わいを比べることはできないよ。

世界中の誰だって、おれの代わりなんかできない。
おれの魅力はおれだけのものだ。
おれが魅力を発揮すれば、君にはそれがわかるよ。

そして、それは君だって同じなんだ。
君の魅力は君だけのもの。おれはそれを愛してるんだ。
愛してる。
愛してる。
君のなにもかもを愛してる。
もっともっと光り輝いて、もっともっとおれを魅了して欲しい。


元気を出して。
いつもありがとう。

嫉妬心にもいいところがあるか?

嫉妬ってなんでしょう?

まず【一般的な意味】を明らかにしておく必要があると思います。

1 自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。「他人の出世を―する」
2 自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。悋気 (りんき) 。
しっと【嫉妬】の意味 - goo国語辞書

上記の引用を読むと、恨んだり、妬んだり、憎んだり...。これって、「私には無い」、あるいは「私から奪われる」という想像が根底にあるんじゃないですかね。やっぱりいきなり感情から始まるんじゃなくて、まず、「私には無いんだという認識」があって、それによって生まれている。

では、どうして「私には無い」と認識してしまうのか。それは、「私にはある」と思っていない、あるいは思えないからですね。たとえば上手い絵が描けないという現実を見てしまった時に、「私にはある」と思えなくなる。

では、なんで思えないのか。

それは見ているポイントが違うからでしょう。これはお金で考えるとわかりやすいと思います。誰かがたくさんお金を持っている。自分にはない。その誰かはよく勉強し、よく働き、まじめに貯蓄を続けるという努力を積み重ねてお金を手に入れたとしても、「あいつにはあって」「自分にはない」ということに注目していると、自分の努力で手に入れるのが待てなくなります。時間をかけて努力すれば手に入るかも知れないのに、すぐに欲しくなってしまう。努力せずに。

別のサイトも見つけましたので引用します。

  • 妬み…人を羨ましく思い、相手に悪意を抱くこと
  • 嫉み…人を羨ましがり、自分に劣等感を抱くこと

(中略)

妬みの嫉みの使い分けは以下のように覚えてください。

  • 妬みを使うとき…「相手が羨ましく、さらに憎い時」
  • 嫉みを使うとき…「相手が羨ましいけど、自分が憎い時」

嫉みと妬みの違いを分かりやすく紹介!!

要するに「羨ましい」という思いが高じると、

  • 他者に対して悪意や敵意を抱く
  • 自分に対して劣等感を抱く

ということでしょう。
この羨みから発生した悪意や劣等感が「嫉妬」と呼ばれるのだと、私は解釈しました。

嫉妬というのは欲望ではなくて、「欲望と、他者との比較から発生する羨ましさ」から発生する感情であり、

  • 自分に無いものを認識した時、時間がかかっても正当に努力して手に入れようと思う
  • 自分に無いものを認識した時、安易な手段(もらう、奪う)で手に入れようと思う

という視点や生き方の違いによって、生まれる感情だと思います。

また、男女間の嫉妬という点で見ても同じだと思います。相手の思いが自分以外に向くことによって、「私には無い」という状態になり、自分の魅力を高めることに注意が向かず、安易にもらおうとか奪い取ろうとか、それができないと矛先を他者に向けて恨み・憎む。同じですね。

嫉妬心はエネルギーになることもありますが、嫉妬しなくてもエネルギーは生まれます。それは向上心です。嫉妬が発するエネルギーをよくよく見れば、その正体は「歪んだ向上心」が発しているものです。だとすれば、歪んでない向上心を持てばいいのですから、嫉妬する必要はまったくないですね。

ということで、私の結論は、
「嫉妬心にいいところは一つもない」
です。

若さと老い

現代の日本では「若さ」の価値ばかりが闇雲に高められているように思う。その反対に「老い」は悪と言わんばかりに敵視されている。老いに価値はないのか。

そうではあるまい。

生き物は必ず老い、いずれ死ぬが、未来につながる何かを残したりもする。若く未熟なものを導き、守り、得たものを伝えて今がある。老いと成長は切り離せない。

なぜ若さが求められ、価値あるものと扱われるのか。それは死から遠ざかりたい、老いによる醜さを認めたくない、減っていく可能性を認めたくないという思いからだろうか。

死がなければ生の意味が希薄になる。限られた時間だからこそ、生の意味を深め味わおうとする。若いうちには身に沁みて知ることは中々難しい。

老いによって容姿は変わる。身体機能も落ちていく。いつまでも美しく健康でない代わりに、老いとともに刻まれた変化は歴史と味わいをもたらす。それは裏打ちされた厳しさであったり優しさであったりもする。若ければどうしても未熟さが出るものだ。

「あと何年生きられる?」と考えれば、たしかに可能性は少なくなっていくようにも思う。しかし反面、それまでに得たものは老いとともに得たのだ。どっちにも転ぶ可能性というリスクではなく、結果という財産に変化したものだ。得られたものの価値を余すこと無く見てみれば、それはそれで唯一のもので、もっと良くない結果だってあり得た。可能性は結果を保証するものではない。

若さには若さの、老いには老いの、それぞれの良さがある。その良さを活かさず、闇雲に若さを取り戻そう、若さを装おうとするのは、人間の成熟を遠ざける価値観だと思う。

熟成し、深く濃く、唯一無二の味わいを持つ。
それを老成と言う。
その価値は、若さと比べて劣るものではないと思う。